保阪正康さんの近現代通史【昭和天皇が歩んだ20世紀】<第二期>

昭和天皇の生涯を通して「日本の20世紀」を描く

定員に達したため募集を終了いたしました。


昭和天皇は明治34年(1901)に誕生し昭和64年(1989)に崩御されました。その生涯は明治・大正・昭和の三代に渡ります。この講座では、立憲君主、大元帥、現御神、国民の象徴といったさまざまな顔を持って生きた昭和天皇の視座から、日本の近現代史を通観します。

昭和天皇の在位期間は、64年(実質は62年と2週間)に及びます。この期間には三つの時代に分かれます。昭和20年8月までの戦争の時代、昭和27年4月までの占領を受けていた時代、そしてその後の独立を回復した時代ですが、第二期の前編は昭和16年12月の真珠湾攻撃から昭和20年8月までの敗戦を検証していきます。昭和天皇の心理を含めて考えてみます。昭和史のもっとも重要な検証になります。

第二期は、戦中・戦後の約50年間を範囲とし、2018年10月-2019年9月の1年間・全12回で学びます。(第一期の募集は終了しました)

保阪正康

保阪正康

前編:昭和天皇と太平洋戦争、その苦悩の日々

昭和天皇にとって、太平洋戦争とはどのような意味を持つのだろうか。本来、戦争に対してもっとも不安と懸念を持っていたにも関わらず、戦争に傾斜していく。そのプロセスには軍部からの圧力がいかに強かったかが窺え、大元帥と国家の主権者としての矛盾もまた背負わされていた。それが昭和に入って一挙に露呈してきたのである。その構図を明確にした上で、昭和天皇の内面を改めて精緻に考えてみたい。

後編:人間天皇と国民との新しい絆

昭和天皇は、太平洋戦争が終結してからの時代にはその役割を大きく変えることになる。神格化された存在から、人間天皇、象徴天皇にと変わる。役割の変化の中で、昭和天皇自身はどのような考えを持ったのか、自らをどのように変えていこうとしたのか、そのことを考えていきたい。それぞれの局面でどのように振る舞われたのか、も考えていきたい。昭和天皇は平成の天皇に何を託されたのか、そのことも考えていきたい。

おすすめする方

  • 日本の歴史、特に近現代史について知見を深めたい方
  • これからの日本のあり方、世界の中の日本の位置づけについて、歴史を通して考えたい方

講師

保阪正康

保阪正康ほさか・まさやす

ノンフィクション作家

1939年北海道生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。日本文藝家協会、日本ペンクラブの会員「昭和史を語り継ぐ会」を主宰。主に日本近代史(とくに昭和史)の事象、事件、人物に題材を求め、延べ4,000人余の人びとに聞き書きを行い、ノンフィクション、評論、評伝などの分野の作品を発表している。

現在、『昭和史の大河を往く』シリ-ズ(毎日新聞社)は、全13巻を数えている。一連の昭和史研究で、2004年に菊池寛賞を受賞。2018年に『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。

主要著書


開催概要

日程第二期 前編: 2018年 10/20、11/10、12/8、2019年1/19、2/16、3/9(すべて土曜日) 全6回
日程第二期 後編: 2019年 4/13、5/11、6/8、7/6、8/3、9/7(すべて土曜日) 全6回
時間14:00-17:00(3時間)
定員25名
会場慶應丸の内シティキャンパス
参加費
  • 第二期 前・後編(12回)
  • 172,800円(税込)
    • 割引制度の適用対象外です。
    • agoraメンバーシップで受講する場合は2講座分としてカウントします。
参加費
  • 第二期 前編のみ(6回)
  • 108,000円(税込)
    • 前編開講後に後編の申込をした場合、受講料は97,200円となります。(継続割引適用・税込)
    • agoraメンバーシップで受講する場合は1講座分としてカウントします。

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講座内容


10月20日(土)14:00-17:00

前編第1回真珠湾攻撃の戦術的成功と戦略的失敗

真珠湾攻撃は、日本海軍にとって本来想定外の作戦であった。連合艦隊司令長官の山本五十六はなぜこの作戦にこだわったか。その本意を分析していくと、短期決戦、即時講和という戦略が見えてくる。山本のこの作戦は天皇の意志を、もっともよく理解した作戦だったということがわかってくる。真珠湾攻撃を天皇の目でみてみるとどうなるのかを整理してみたい。


11月10日(土)14:00-17:00

前編第2回ミッドウエー作戦とガダルカナルでの戦い

緒戦の成功に安堵した日本軍部は、次の第二段の作戦で失敗を重ねる。そこには日本的な理由があった。驕り、侮り、そして主観に埋没など、いくつかの理由はすぐに指摘できる。特に大きかったのは情報軽視、ひとりよがりが大きかった。それらの事実を丹念にみていくことで、私たちは太平洋戦争がいかにアメリカ側の戦略の中にいたのかがわかってくる。


12月8日(土)14:00-17:00

前編第3回アメリカ軍の反攻と日本軍の物量状況

昭和18年にアメリカ軍は本格的な反攻を開始した。具体的な作戦の骨子は、日本軍を物量戦に巻き込み、そして追い詰めていくのである。日本軍は特に明確な戦略を失った状態で消耗戦に入る。そのためにアッツ島の玉砕から始まり、中部太平洋での敗戦が続くことになる。天皇は次第に軍が正直に戦況の内容を伝えてこないことに、強い不満を抱くようになっていく。


1月19日(土)14:00-17:00

前編第4回サイパン陥落とレイテ沖海戦、そして比島決戦

昭和19年7月の「あ号作戦」の失敗で、日本はサイパンを失った。これによりアメリカ軍は日本本土を直接に攻撃できるようになった。東条内閣は天皇の信頼を失い、失脚することになる。日本は勝算がないのは目に見えているのに、戦いを続行するのだが、昭和19年暮れからのレイテ決戦に特攻機が相次いで飛び立ち、戦況の挽回を企図する。天皇は焦慮と困惑の日々を過ごす。その心理を見る。


2月16日(土)14:00-17:00

前編第5回沖縄戦という本土決戦の内幕

アメリカ軍の作戦は日本本土に及び、日本軍は特攻作戦で対抗するといった状態になった。日本に残された道は「終戦を受け入れるか」、それとも「一億総特攻」で崩壊するかである。天皇は前者の道を望むが、しかし軍部はすでに天皇のいうことには耳を貸さない。沖縄戦は戦争の本質を示しているのだが、内地にはその状況が伝わらない。日本の戦争政策は軍事が優先したときの悲惨な光景を生んでいたのである。


3月9日(土)14:00-17:00

前編第6回なぜ終戦工作は実らなかったか

日本の終戦工作については、これまで明らかになってきたのには7つほどのルートがある。その一つずつを具体的に検証していく。あるルートは、天皇が関わったともいわれるが、実態は明らかではない。この講座では和平工作とは何だったのか、天皇自身はどのような和平を望んでいたのか、その内容について考えてみたい。開戦前からの戦争の不安はどのように終戦への道を想定していたのかを見ていきたい。


4月13日(土)14:00-17:00

後編第1回玉音放送は国民に何を伝えたか

昭和20年8月15日に、天皇はマイクの前で国民に向けて、戦争の集結と敗戦に伴う今後の覚悟を演説した。国民は初めて天皇の声を聞いたのである。一部の国民にはまさに「神が人間になった」のである。しかし天皇はより現実的で、そして、時代をよく見つめていた。天皇の本心に迫ることで日本の天皇制について考えることが必要である。今、そのことが何より必要だと思う。


5月11日(土)14:00-17:00

後編第2回マッカサーとの会談と民主化政策

マッカサーが日本の統治を始めるにあたって最初に考えたのは天皇との会見であった。しかし自らは動かず、日本側の反応を待っていた。吉田茂外相などが会見の労をとり、昭和20年の9月26日に、天皇はアメリカ大使館を訪ねて第1回目の会談を行った。以後、10回にわたり会談を持っている。二人は何を話されたかを考える。


6月8日(土)14:00-17:00

後編第3回全国巡幸と人間天皇の道

天皇は戦争の選択、そして悲惨な戦争の国民的な体験に対して、何らかの意思表をしたいと考えていたように思われる。それが全国巡幸となったのであろう。この巡幸について、天皇はほとんどの国民に歓迎された。天皇自身も国民の生の声に接することで、初めて人間天皇の実感を得ていく。この回路は天皇と国民とも改めて天皇制のあり方を考える契機になった。


7月6日(土)14:00-17:00

後編第4回講和條約発効と日本国憲法の道

昭和27年4月に講和條約が発行する。日本は新しい体制で国際社会に出ていくことになった。占領期の間、天皇の心理には退位の気持ちもあったように思われるのだが、この独立を機に戦後の天皇像を確立すべく道を選択していく。天皇にとって、戦争時の心理から解放されたことは、改めて喜びであったように感じられる。天皇のこの心理を戦後日本の中心軸に据えるべきであろう。


8月3日(土)14:00-17:00

後編第5回高度成長経済下の天皇の役割

日本経済は戦後の復興から脱して世界第二位の地位にまで達する。この間の天皇は特に目立った動きはしていない。それが、近代日本では常態であることが望ましいとも言えた。天皇は国民統合のまさに象徴であった。東京オリンピックや大阪万国博など日本は国際社会で一定の重さを持つが、それは天皇の存在が国民の間にも統合の役割を果たしているとの理解が確立したからであった。


9月7日(土)14:00-17:00

後編第6回昭和の終焉と平成の時代へ

昭和62年4月29日の天皇誕生日に、天皇は体調を崩された。その後、体調を取り戻したが、内々では癌であることもわかった。天皇は公務をこなしつつ療養に努めるが、やがて寝たきりの状態になった。その天皇の胸中にはどのような思いがあったのだろうか。折々に詠まれた御製を分析しつつ、その「お気持ち」を分析していきたい。


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