田口佳史さんに問う中国古典『史記・列伝』
”究極の古典”を通して歴史に学ぶ
司馬遷の『史記』は中国の代表的歴史書です。中でも個人の人物伝である「列伝」は、その最大の特色といわれており、「紀伝体」という歴史書書式の由来となりました。歴史の流れに加えて、彩色豊かな人間像を描写したことで、ジオラマを見るかのような立体的な歴史理解が可能になりました。
「列伝」は、劇的な事件や怨念・愛憎劇をあますところなく描写しており、人間という不可思議で恐ろしい存在への深い洞察に満ちています。今回の講座では、究極の古典とも言うべき『史記・列伝』を通して、皆さんと一緒に歴史に学んでみたいと思います。
『史記・列伝』とは
前漢時代(紀元前99年頃)に成立した古代中国の歴史書。年代記である「本紀」十二巻、「表」十巻、「書」八巻、「世家」三十巻、「列伝」七十巻で構成される膨大な通史です。司馬遷の父司馬談の遺命によって始められ、途中投獄・宮刑の艱難や屈辱を乗り越え、親子二代の悲願として十数年を経て編み上げたと言われています。
おすすめする方
- 中国古典の思想・考え方をビジネスや人生に役立てたい方
- 生きる上での哲学や価値観の重要性を認識し、醸成したい方
講師
agoraメンバーシップは講座参加費の割引と講演会の受講券がセットになったお得な制度です。詳しい内容はこちらをご覧ください。
講座内容
10月2日(月)18:30-21:30
第1回『史記』とは何か
古代中国には春秋・戦国時代といわれる五百年にも及ぶ大混乱期がありました。それは全てがご破算になる恐怖と千載一遇の機会が並列する激しい時代でありました。
一回目は、『史記』の概要を掴むと同時に、中国古代史を題材にして、時代の大きな曲がり角の真っ只中にいる私達が如何に生きるべきかを考えます。
10月16日(月)18:30-21:30
第2回「伯夷列伝」「管・晏列伝」「老子・韓非列伝」を読む
二回目は、巻頭の名高い列伝の数々を読み「列伝」の世界観を理解します。
正義が必ずしも日の目をみるわけではない現実を提示する「伯夷列伝」、対照的な二人の名宰相を論じた「管・晏列伝」には、「列伝」に通底する思想がみてとれます。「老子・韓非列伝」は老子を中心に読みます。
10月30日(月)18:30-21:30
第3回「太史公自序」「任少卿に報ずる書」を読む
「列伝」の世界観には、編纂者である司馬遷の人生が色濃く反映されています。列伝の最終巻である「太史公自序」や「任少卿に報ずる書」には、「史記」のために宮刑の屈辱に堪えて生きる道を選んだ司馬遷の、人間社会への強烈な好奇心と絶望さえも吹っ切ってしまう執念を読みとることができます。
11月13日(月)18:30-21:30
第4回「伍子胥列伝」を読む
艱難辛苦を経験した司馬遷の抱いた思いの一つに「怨」があります。「伍子胥列伝」は、それが最も強く表れた巻だといわれています。人の心に食い入った怨恨の恐ろしさを冷徹に描きだした一節を通して、「怨」の意味するところを探りつつ、その解消の行方を論じます。
11月27日(月)18:30-21:30
第5回「魏公子列伝」を読む
「魏公子列伝」は、「富貴でありながら貧賤のものにもへりくだり、賢明ながら愚かなものにも頭を下げることができた」人格者、魏の信陵君を取り上げた巻です。『史記・列伝』の中でも、名文中の名文といわれる文章を味わい、名文家としての司馬遷の側面を味わいます。
12月11日(月)18:30-21:30
第6回「貨殖列伝」を読む
「列伝」は、実は多様な内容で構成されており、それも魅力として逃し難い点です。その典型として「貨殖列伝」を読みます。一代で巨大の富を築いた人々の逸話もあり、更に広大な中国各地の地場産業を活用した発展の仕方もあり、司馬遷の地理的特性に対する知識の多さに驚かされます。
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