バブル崩壊後の30年間、日本企業にとって「イノベーション」は最重要課題のひとつとして位置づけられてきました。数多くのイノベーション論が提唱され、試行錯誤の中で多くの理論が実践に取り入れられましたが、いくつかは期待通りに機能せず、下火となったものも少なくありません。それでもなお、イノベーションは企業成長にとって欠かせない要素です。
本講座では、過去に提唱された主要なイノベーション論をクリティカルに分析し、その実践的意義と限界を議論することで、真に有効なイノベーションの本質を明らかにしていきます。
講師による講義と、事後課題の共有・ディスカッションを中心に進めます。課題は各回の設問にしたがって自分なりに考えをまとめてみてください。講師からのフィードバックやクラスディスカッションによって、より考えを深めます。
各回の参考図書を事前に読む必要はありません。講座終了後、関心に合わせて手に取り、理解を深めていただければと思います。
開催形態 | ハイブリッド開催(対面(キャンパス)、オンライン) |
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日程 | 2025年 5/10、5/24、6/7、6/21、7/5、7/19(すべて土曜日) 欠席時は録画映像の視聴が可能です。 |
時間 | 14:00-17:00(3時間) |
定員 | 25名 |
会場 | 慶應丸の内シティキャンパス、オンライン(Zoom) |
参加費 | 110,000円(税込) 割引制度・キャンセル規定 |
お問い合わせ | 担当:米田 03-5220-3111 個別相談 資料請求 |
第1回 5月10日(土)14:00-17:00(3時間)
オープンイノベーションとは、企業内外のアイデアや技術を広く活用してイノベーションを創出する方法であり、ヘンリー・チェスブロウによって提唱されました。グローバル競争で優位に立つため、今日、多くの企業が重要な戦略として採用しています。
このようなオープンイノベーションの方法は本当に有効なのか、果たして実行可能なのかについて批判的に議論します。
第2回 5月24日(土)14:00-17:00(3時間)
ソーシャルイノベーションとは、社会的な課題を解決するための新しいアイデア、製品、サービスを生み出すことを意味します。単に技術革新やビジネスモデルの変革にとどまらず、社会全体にポジティブな影響を与えることを目的としたイノベーションです。
持続可能な社会を形成するために、どのようにしてソーシャルイノベーションを起こすことができるのか、批判的に議論します。
第3回 6月7日(土)14:00-17:00(3時間)
ユーザー・イノベーションとは、消費者自身が日々の生活の中ですでに問題を解決しており、それをヒントにして新しい商品や製品を開発する方法のことです。この考えによると、新製品の開発プロセスにおいて、積極的に消費者を巻き込んで開発が進められることになります。
果たしてユーザー・イノベーションの方法は有効なのかどうか。これについて、批判的に議論します。
第4回 6月21日(土)14:00-17:00(3時間)
従来、まず先進国で新製品や商品が販売され、成功すると、発展途上国でも販売されるという流れが一般的でした。これに対して、新興市場や発展途上国で生まれた革新的な技術や製品を先進国に逆輸入してイノベーションを起こそうとする方法がリバース・イノベーションです。
このようなリバース・イノベーションの方法が果たして有効なのかどうか、批判的に議論します。
第5回 7月5日(土)14:00-17:00(3時間)
リーン・スタートアップとは、スタートアップ企業が迅速に市場に適応するための手法であり、無駄を最小限に抑えつつ、製品やサービスを改善していくアプローチです。リソースが限られているスタートアップ企業にとって、効率的に成功を目指すための有効な手法として広く採用されています。このようなリーン・スタートアップの手法は大企業にも適用可能なのか、その可能性と課題について批判的に議論します。
第6回 7月19日(土)14:00-17:00(3時間)
本講座で取り上げた各種イノベーション論(オープンイノベーション、ソーシャルイノベーション、ユーザーイノベーション、リバース・イノベーション、リーン・スタートアップ)を総括し、実践における成果や課題を振り返りながら、現代の企業にとって真に有効なイノベーションの方法とは何かを考察します。また、各理論が持つ限界や、今後必要とされる新たなアプローチについても皆さんと議論を深めたいと思います。